包装資材のあれこれ
人類史がはじまって以来、食物を貯蔵することは重要な生活の営みの一つとして考えられ、いろいろ工夫され発展してきました。
人類史初期、人類が定住する前は行動範囲が広かったため、食料の確保が重要となりました。
ですから移動距離に応じ、植物や動物の肉などを焼いたり干したりするなど、食品を保存するための工夫が行われ、その後、適切な包装資材で包んだ後持ち運ぶ必要がありました。
その後人類は定住するようになりましたが、文明の発展とともにその用途も広がり、さらに包装(パッケージ)も発展していきました。
今日、さらに包装(パッケージ)を使う場面は増え、その種類や用途も多岐にわたっていますが、その必要性の本質は変わっていません。
現在でも豊かな生活を過ごすための重要な営みの一つとして、包装(パッケージ)は存在しているのです。
食品包装には、食品を保護するだけでなく、保存性や運搬性、衛生性、使いやすさなど、さまざまな役割があります。
包装・容器 その言葉の意味
基本の漢字である『包(ホウ)』bāoは、お腹の子供の姿を表す象形文字です。漢字は、勹(つつみがまえ)と己・巳(子供の形)からなっており、胎児が母親の胎内に大切に育まれている形から考えられており、大切なものを つつむ、詰める、守る事を意味しています。
「包」は、胎児を包み込む形を表した象形文字とされ、「つつむ」「くるむ」などの意味を持つ漢字です。
また、装の字は「飾り整える」「そろえる」などの意味です。つまり、包装とは大切な物を整えて、つつみ大事に保護することを意味するのです。
容器の容の字は入れる、蔽う(おおう)、ふさぐ、盛る、つつむ、形などを意味し、器の字は うつわ、入れ物、大事にするなどの意味です。つまり容器も大切な物を入れて封をして大事に守るうつわという意味になります。
いずれにしても包装・容器には、物を大切にしたい、大切な人に贈る物という意味が込められているのです。
初期の包装(パッケージ)
現代では、商品を保存・装飾するうえで、「パッケージ(=包装)」は重要な役割を持っています。
このような包装(パッケージ)の技術は古来より採用されており、時代に応じて変化してきました。
つまり人類が食物を保存したり持ち運んだりするために、それらを収納する入れ物が必要になります。そうした入れ物が、現在の包装資材へと変遷してきたのです。
ただし、文字による記録が残っていない時代については、現在の「食品包装」と同じ目的で使用されていたかどうかを一律に断定することはできません。遺跡から出土した容器や素材などから、当時の生活や保存方法が考察されています。これら包装資材は大きく分けて、二種類に大別することができます。それは柔らかい素材で包む「軟質包装素材」と固い素材で包む「硬質包装素材」です。
現代の包装資材は、素材や形状、用途などによってさまざまに分類されます。ここでは、古くから利用されてきた「包む素材」と「容器」の例として紹介します。
例えば「笹」や「柿の葉」といった植物の葉や、動物の内臓を利用したものは、現在の包装資材で「軟質包装素材」と呼ばれている分野に繋がります。
また「ひょうたん」「竹の筒」「ヤシの実」「貝殻」などは現在の「容器」に結びついており、その後、陶磁器や木材加工製品に置き換わっていきました。
初期の包装は、現在のように様々な素材がないため、身の回りにあり、入手しやすいもの、つまり木や竹の皮、わら、縄、木の葉などの天然素材が中心に利用されていました。
軟質包装素材:木の葉や動物の皮などの利用
特に人類が包装(パッケージ)を使い始めた当初は、木の葉がその代わりをしていたかもしれません。
身の回りにあり、入手しやすい木の葉は、種類によっては大きさも充分であり、丈夫さやその柔軟性を活かし、肉や魚を汚れやホコリから保護したり、ナッツ類を持ち運ぶために使われていました。
植物の葉を食品などの包装に利用する文化は、現在の日本にも残っています。笹の葉や柿の葉などは、その代表的な例です。時にその包んだものを束ねて持ち運ぶ際には、丈夫な植物の蔓や動物の皮なども使われていたと思われます。
そのような動物の皮以外にも、動物の胃袋や内臓を転用したり、さらに皮を縫い合わせて袋状に加工しました。
こうした天然素材を利用した「包む」「入れる」「運ぶ」という工夫は、現代の食品包装にも通じる考え方の一つといえます。そうした原始的な「包装資材」は、当時は非常に入手し難かったと考えられます。
軟質包装素材:その他の軟質包装素材
藁(わら)
稲作が始まった縄文時代の頃には、藁(わら)を包装資材として使用していたことが分かります。
人類にとって藁(わら)はとても身近なもので、さまざまな生活用品に利用されてきた素材でした。
奈良時代には藁を編んだ「筵(むしろ)」が使用されています。
「紐(ひも)」「縄(なわ)」
奈良時代の歴史書である「日本書紀」には「注連縄(しめなわ)」についての表記がありますから、すでに様々な素材を紐や縄に変えて使用されていたことが分かります。
紐や縄は、物を束ねたり固定したりするためにも利用され、古くから「包む」「まとめる」という行為と関わってきた素材の一つです。
麻(あさ)
既に麻は縄文時代の極めて早い時期に日本の広い地域に生育していたため、この頃には麻の布が包装用に使用されていた可能性があります。
その証拠として麻が出土している遺跡はいくつかあります。
ただし、麻が出土したことだけから、それが食品包装を目的として使用されたと断定することはできません。古代から植物繊維が衣類や紐など、さまざまな用途に利用されていたことを示す資料の一つとして考えることができます。
硬質包装素材:土器の利用
定住し穀物を栽培するようになると、甕や瓶のような土器が利用されました。
日本では、生活様式とそのニーズの変化により縄文式・弥生式土器など様々な土器が作られ、食品や水などを入れて保存する容器としても利用されてきました。
土器は、現代の食品容器とは素材や製造方法が異なりますが、「食品などを入れて保存する」という点では、現在の容器にも通じる役割を持っていました。
硬質包装素材:木材や石材の利用
人類が道具を使えるようになると、その道具を使い木材や石材を加工し、それを食品包装容器として利用しました。
包装する食材などにより木材や石材を使い分け、それが後々木材を利用して作る紙への発展へとつながっていきました。その他にも硬質素材包装として、様々な素材が利用されてきました。
木材や竹などは、現在でも食品容器や包装に利用されている身近な素材です。
硬質包装素材:貝殻や角
現在掘り起こされている様々な遺跡からはアワビなどの巻貝やハマグリなどの二枚貝の貝類が出土し、人類史当初から包装資材として活躍していたことが分かります。
これら軟質包装素材は、現在の「紙」「フィルム」「袋」「ネット」。
硬質包装素材は「椀」「皿」「ケース」「ボトル」などに置き換わっていくなど、豊かな生活を過ごすための重要な営みの一つとして、包装(パッケージ)は進化していったのです。
現在の食品包装資材には、紙、フィルム、プラスチック、ガラス、金属など、さまざまな素材が使用されています。食品の種類や保存方法、用途に応じて、それぞれの素材の特性を活かして使い分けられています。
また、食品に直接触れる容器や包装については、食品衛生法などの関係法令・規格への適合が重要です。特に合成樹脂製の食品用器具・容器包装については、ポジティブリスト制度が導入されています。
食品包装資材を選ぶ際には、素材や形状だけでなく、「何を入れるのか」「どのような温度・環境で使用するのか」「食品に直接触れるのか」などを確認することが大切です。
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