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環境対策の切り札?!生分解プラスチックを徹底解説

軽くて強く加工性に優れるプラスチックは、優れた材料として日常に欠かせないものである一方、原料として石油資源を大量に消費し、さらに自然界にゴミとして長期間残存するといった問題が指摘されている。

現在全世界での生産量は年間2億tで、そのうち数100万tが海に流出し海洋汚染の原因となっているといわれているのです。

そのようなプラスチックゴミを含む環境問題にどのように立ち向かっていけばよいのでしょうか。
その一つが生分解プラスチックです。

このコンテンツでは、その生分解プラスチックについて特集します。

生分解プラスチックは環境にやさしいプラスチック

今やわたしたちの暮らしの中でプラスチックは欠かせないものになっています。

スーパーに行けば魚はプラスチック製のトレイやビニールに入れられていますし、元をたどるとその魚はプラスチック素材の漁網で漁獲されたものがほとんどです。

ちょっとお茶しようとお店に入れば、トレイやストロー、そしてカップもプラスチックで出来ているものが多いですね。

それを持って帰ろうとしたら、それもポリ袋・・・なんてこともあります。
今やプラスチックはわたしたちの生活に欠かせないものになっているのです。

しかし最近のプラスチックの海洋ゴミ問題のニュースや地球温暖化のニュースなどを聞くと、プラスチックを消費、あるいは提供することにモヤモヤとした気持ちになったりもします。
それはサービスを提供しているお店の方も同様のようです。
木村容器にはそんな相談が数多くあります。

そんな中、環境にやさしいプラスチックがあるとしたら、是非知りたいと思われるのではないでしょうか?

それはズバリ、廃棄物処理問題の解決につながると期待されている「生分解プラスチック」というものです。

生分解プラスチック一体どういうものなのでしょうか?

そして便利な暮らしと環境問題の間で揺れ動いておられるすべての方に、今後のプラスチックの展望をご紹介します。

廃棄プラスチックの概況

現在、プラスチックなしに生活している人はほぼいないだろう。

1950年時点での世界のプラスチック生産量は200万トン(化学繊維含む)だったが、2015年には3億8000万トンに達した。1950年から2015年までのプラスチック総生産量は78億トン、製造で必要となる添加剤を含めると83億トンになる(図1)。83億トンのプラスチックのうち、現在も製品として使用されているのは25億トンであり、58億トンは使用済みである。

使用済プラスチックのうち、埋め立てなどで廃棄されたものが46億トン(79%)、焼却処分されたものが7億トン(12%)、リサイクルされたものは残りの5億トン(9%)である。リサイクル分を加味すると、最終的には49億トンの廃棄プラスチックが生じている。


日本では行政による廃棄プラスチックの回収が進み、埋め立て地も適切に管理されている。
しかし、日本でも河川などからマイクロプラスチック(水の流れや紫外線により細かく粉砕され、粒径5mm以下となったプラスチック)が検出されているのが現状である。

ましてや、廃棄プラスチックが野ざらし状態となっており、埋め立て地の管理が不十分である中国や東南アジアなどの国々では、多くのマイクロプラスチックが海洋に流出していると想定される。

2010年には、世界で1270万~4800万トンのプラスチックが海洋に流出したと推定されている。

マイクロプラスチック問題

現在、一般的に使用されているプラスチックは生分解性(自然界に存在する微生物の働きで最終的にCO2と水に完全に分解される性質)が低いため、人間が焼却処分しない限りは分解されずに自然環境中に残存する。

木材などの天然有機材料であれば当該材料を分解できる微生物が自然界に存在するため、最終的にはCO2と水に完全に分解される。

しかし、プラスチックは人類が生成した化合物であり、分解できる微生物は自然環境中に存在しない。
プラスチックは水や紫外線により細かく粉砕されるが、自然環境では分解されずに微細化だけが進行し、回収が困難になってしまうことがマイクロプラスチック問題の本質である。

昨今のニュースでは、目視で認識可能なミリメートルサイズのマイクロプラスチックが取り上げられている。
しかし、注視すべきは目視で認識できない数十μm以下のマイクロプラスチックである。
こうした微細なマイクロプラスチックが魚や貝類の体内に摂取・蓄積されることにより、生態系や人体に悪影響を及ぼすことが懸念されている。

これらの世界事情ゆえに、今生分解プラスチックに対する環境側の期待が高まっているのです。

生分解プラスチックとは?

海洋汚染

生分解プラスチックとは、最終的に自然界の微生物などの働きによって、そのプラスチック成型物が水と二酸化炭素に完全に分解され自然に還るプラスチックのことです。

これまでプラスチックと言えば、朽ちることなく長期に存在し続けるという特徴がありましたが、この生分解プラスチックは分解されるので寿命があるということになります。

もちろん、分解は特定の環境下によって生じるため、使っている間に、飲んでいる間に突然粉々に砕けたりすることはなく、今までのプラスチックと同じように使用できますのでご安心ください。


わたしたちが目にするバイオ関連のマークの中にはバイオマスマーク、バイオマスプラマーク、グリーンプラマークがありますが、この生分解性を有するプラスチックは「グリーンプラ」と呼ばれています。

近年様々な種類の生分解プラスチックが開発されており、原料や製造方法の観点からいくつかの種類に分類することができます。
日本は、まだまだ植物性の原料を使ったバイオマス素材に移行しつつありますが、世界はこちら、生分解プラスチックを見ています。

ここでは代表的な3つとその特徴を挙げていきたいと思います。

①微生物産生系|生分解プラスチック

バクテリアセルロース
ココナッツ

微生物の多くは、体内にポリヒドロキシアルカノエート(PHA)というポリエステルを蓄積します。

PHAは単体ではもろいため、別の成分も導入した共重合ポリエステルが開発されています。

PHAはフィルム、シートなどの原料に利用されたり、縫合糸や心臓血管用パッチのような医療分野でも用いられているようです。

もう一つの原料、バクテリアセルロースも微生物によって生成されるものです。

バクテリアセルロースと言われてもピンと来ないですよね。
イメージしやすいものは、『ナタデココ』です。
「ナタデココ」とはココナッツ水の上に出来た膜のことなんです。
あれはバクテリアによって作られた膜で、セルロースの繊維が緻密に入り組んであのコリコリとした食感を生み出しているんです!

このセルロース繊維を利用して、柔軟に曲げられる薄型ディスプレイや、輸血分離用血液フィルターなどの開発が進められています。
微生物ってスゴイですね・・・

②天然物系|生分解プラスチック

植物によってもセルロースは作られます。
これを改良した様々なセルロース誘導体が開発され、半硬質タイプの生分解性プラスチックへと実用化されています。

穀類やイモ類に含まれるデンプン(グルコースポリマー)も、それだけではプラスチックになりませんが、他の生分解性プラスチックとのブレンドにより、フィルムなどの製品に加工されています。

③化学合成系|生分解プラスチック

現在最も有用とされているのが、化学合成系の生分解性プラスチックです。

トウモロコシやイモなどのデンプンを、化学重合法で合成したポリ乳酸(PLA)はその1つです。
これは日本でも数多く出始めています。

ポリ乳酸(PLA)は、農業用シートやハウス用フィルム、食品トレイや包装用フィルム、レジ袋などで使用されています。

また、自治体のゴミ袋、魚網、育苗ポット、に採用されているポリブチレンサクシネート系(PBS・PBSA)も、化学合成系のプラスチックであり幅広く活用されるようになってきています。

こうして見てみると、様々な種類の生分解プラスチックが開発されていますね。

ストローやスプーン、ビニール袋やお弁当用パックなども、生分解性のものがどんどん製品化されてきています。

このように原料・製造の観点から3分類できる生分解性プラスチックですが、共通した特徴はやはり、自然界へと分解されるというメリットです。

また自治体のゴミ袋、魚網、育苗ポット、に採用されているポリブチレンサクシネート系(PBS・PBSA)も、化学合成系のプラスチックであり幅広く活用されるようになってきているのです。

生分解プラスチック

生分解性プラスチックの特徴とメリット

生分解プラスチックは、いつまでも海の底に残る従来のプラスチックと異なり、微生物によって分解・消化され、自然界の循環の一部になるというのはとても大きな利点です。

特に、コンポスト装置内(高温多湿環境で、生ゴミから堆肥を作る装置)では生分解性プラスチックを早く分解し、そこで作られた堆肥(肥料)の質にも影響を与えないので有効に再利用することができます。

生分解プラスチックを焼却処分することになった場合でも、熱量が低いため焼却炉を傷つけることなく、大気を汚しません。

以前プラスチックを焼却するとダイオキシンなどの有害物質が発生すると話題になり、人体への影響を不安に感じていましたが、大気を汚さないというこの性質は嬉しいですね。

すでに少しずつ導入されているようですが、釣り針や魚網などが生分解性のものになると、より安心して使えます。

ここまでで、生分解性プラスチック、グリーンプラが環境に良さそうだということは分かってきました。

“環境に良さそう”なプラスチックとしては、「バイオプラ」というものもお聞きになったことがあることでしょう。

なんかもう、「バイオ」っていう言葉が付くだけで、最強で無敵な感じがします。

では生分解性プラスチックというのは、バイオプラとどういう関係なのでしょうか?
次にその点を考えてみたいと思います。

生分解性プラスチック=バイオプラ?

「バイオ」が付くと、バイオで分解してくれる生分解性のイメージがあるかもしれませんが、厳密に言うとこの2つはイコールではありません。

生分解性とは、土中の微生物の働きで水と炭酸ガスに分解される性質のことを言います。
動植物由来の原料で作られた「バイオマスプラスチック」はみんな微生物によって分解されそうな気がしますが、実はそうではありません。
分解されません。
バイオマス原料の詳細については、コンテンツ124「バイオマスプラとはなんですか?バイオマスプラの歴史」をご覧ください

この「バイオマスプラスチック」と今回ご紹介した「生分解プラスチック」を合わせて、「バイオプラスチック」と呼んでいるのです。

地球に優しい原料で作られた「バイオマスプラ」と、使用後の処理が地球に優しい「生分解プラスチック」の総称が「バイオプラ」というわけです。
ですから「バイオマスプラスチック」=「生分解性プラスチック」とは限らないのでご注意くださいね。

ちなみに、石油系のプラスチックの中にも生分解性を持つものがあります。

生分解性プラスチックの課題と今後

生分解性プラスチックの課題

使った後に自然に還るなら、みんな生分解性プラに変えちゃえばいいじゃないか!と思いがちですが、なかなかそう簡単には普及できず、課題があるのが現状です。

まず第一の問題はお値段です。
生分解性プラスチックは価格が従来のプラスチックに比べると高価になるため、生分解性プラスチックに乗り換えるという企業が少ないのです。

さらに、物性や成形性、性能などで従来品(プラスチック)を凌駕すると評されるものが少ないことも、普及が進まない原因の1つです。

特に植物性のバイオマス素材を使用した製品は少し色が白濁、又は黄色となります。
この色は従来のプラスチックの透明性に比べると、飲み物などを美味しくは見せないですよね。

またこれら商品は熱に弱いという特徴もあるので、商品の保管~輸送など問題は山積みです。
特に暑い日本の夏には大問題です。

第二に、コンポスト施設(高温多湿環境で、生ゴミから堆肥を作る装置)が少ないという問題点もあります。
生分解性プラスチックは「分解され自然に還る」と前述しましたが、実は、いつでもどこでも分解されるというわけではないんです。

そりゃそうですよね。
いつでもどこでも分解されるとしたら、プラスチックカップの在庫をたくさん持っていたらいつの間にかばらばらになっていた、なんてことになってしまいます。

現在の生分解性プラスチックはコンポスト化装置や土壌環境で分解されるもの、水環境で分解されるものなど、分解される場面と環境が限定的なものばかりです。

分解してくれる特定の微生物がいて、その微生物が活動しやすい環境を作ってはじめて生分解性プラスチックの本領が発揮されるというわけです。

そうした分解環境の整った場所が少ないのが問題なのです。
島国で国土が限られた日本において、コンポスト設備完備がどこまで出来るのか、というのは今後の課題です。

また現在は原材料の供給も少ないため、検討して導入しようと思われているお客さまもいらっしゃいますが、導入までに時間がかかるという問題もあります。


まだまだ課題は多いのが現状です。

まとめ 生分解プラスチックの今後の展望

今後、生分解性プラスチック原材料の新たな分野の開拓、環境に応じて分解速度を調整する酵素・酵母菌等の発見、具体的な製品化などの点での発展が期待されています。

たとえば水中で分解されるプラスチックは、カネカ(株)がバイオマスを原料にして開発したPHBH(ポリヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)などごく一部に限られています。

海といっても、海面・海底・波打ち際・砂浜など環境は様々なので、それぞれの状況下での生分解試験や評価が追加されていくようです。
こうした研究・開発・実用化にはやはり費用もかかるため、産業界・研究機関・官界の連携と支援がどうしても必要になります。

今年のG20大阪サミットの国際メディアセンターでは、カネカ(株)により、生分解性ポリマー(PHBH)を使用したスプーン、フォーク、ゴミ袋が展示されました。
今後「グリーンプラ製品」として認定されたプラスチック製品が、安価で手に入るようになるといいですね。

木村容器では、従来のプラスチックに代わるエコなカトラリーやコップ類を扱っています。
またバイオマス素材を使った製品も多数ご用意しています。
興味のある方は是非木村容器のパッケージコンシェルジュまでご連絡ください。

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